ご近所に派手なイルミネーションを飾り付けている家を見つけた。

クリスマスは終わり、正月も終わったというのに、
このきらびやかな飾りようは、いったいどうしたことか。
3階建ての建物の1階部分は事務所になっているようである。
事業所名が書かれた看板がかかっている。
そこには「〇〇葬祭」と書いてあった。
葬儀屋さんなのである。
ご近所に派手なイルミネーションを飾り付けている家を見つけた。

クリスマスは終わり、正月も終わったというのに、
このきらびやかな飾りようは、いったいどうしたことか。
3階建ての建物の1階部分は事務所になっているようである。
事業所名が書かれた看板がかかっている。
そこには「〇〇葬祭」と書いてあった。
葬儀屋さんなのである。
元日。
実家近くの遊歩道を散歩していたら、
目の前に広がる景色に足が止まった。
こんもりとした島、
浮かぶ牡蠣いかだ、
波ひとつない海、
どこまでもおだやかである。


少し時間が取れたので、渋谷に行った。
かねてから関心があった巨大壁画を見るためである。
しばらく眺めた後で、振り返るとそこから駅前が見えた。
それにしても人が多い。
なんだろう、この人の多さは。
横断歩道待ちをしている人の数は、山間の小さな村の人口に等しいのではないか。
信号が替わり、みんないっせいに歩きだした。
道路がみるみるうちに黒い波に染まっていく。
壁画とは違う意味で、
再び鳥肌が立った。
クリスマスのイルミネーションがまぶしく街を彩る、
師走も近づく今日11月24日、
そのツリーはある自動車学校の玄関にあった。
干し柿ではなく、魔除けでもなく、カラスをおびき寄せるワナでもない。
柿ツリー。
うーん・・・これって。

ある教習所の朝礼に参加させてもらった。
珍しく、屋外に出ての朝礼である。
ひと通り指示伝達など終わったと思ったら、みんな四方に散ってラジオ体操が始まった。
ラジオ体操。
何年、いや何十年ぶりだろう。
スーツ姿のまま私も体操をしてみた。
両手を広げて体を伸ばしたら、山が見えた。
形のよいこんもりとした山だった。
そのまま上を見上げたら、今度は青空が飛び込んできた。
空気がひんやりと冷たくて、心地よかった。
体操が終わって校舎に戻りながら、隣にいた経営者に言った。
「いいですね、ラジオたい・・・」
息が切れて最後までしゃべれなかった。
ある教習所の宿舎に泊まった。
とても寒い夜だったので、早く寝ようと布団に入ろうとしたら、
畳の上を何かがもぞもぞ歩いている。
黒っぽくて鎧をまとったような虫。
カメムシだった。
どうしようかと考えた末にティッシュに包んで窓から逃がしてやった。
やれやれと思って電気を消そうと思ってふと壁を見たら、何かがとまっている。
またもやカメムシだった。
少しの間じっとしていたが突然ぶーんと飛んで畳に落ちてきた。
またティッシュにくるんで窓から逃がしてやろうとしたが、なかなか離れてくれないので、
仕方なくティッシュごと室外機の上に置いて窓を閉めた。
電気を消して、布団に入った。
しばらくすると、闇の中でぶーんという羽音が聞こえた。
やっぱりカメムシだった。
私はその音を聞きながら、
同じカメムシが何度も出たり入ったりしているのではないかと思った。
そう思うと、眠れなくなった。
またぶーんという羽音が聞こえた。
私の顔の上に飛んでくるかもしれない。
もう、いてもたってもいられなくなった。
しかし、どうしても起き上がる気になれなかった。
しばらく布団の中で目を開けたままじっとしていたが、
気がつくといつのまにか朝になっていた。
見回すと、カメムシは枕のそばにいた。
いつまでもじっとして、まるで死んだように動こうとしなかった。
ある街の公園に行ってみた。
大きな池の外周をしばらく歩いてから、ベンチに腰掛けた。
池の表面からカメが顔を出している。
おやおやと思っていたら、今度は大きなオニヤンマが目の前を通り過ぎていった。
池の表面から突き出た杭には、海が近いせいかたくさんのカモメが羽根を休めている。
大学のサッカー部だろうか、数名の赤いユニフォームが声を上げながら背後を走り抜けていった。
どうやら外周をぐるぐる周っているらしい。
すぐ横にあるしだれ柳が風に揺れてさわさわと音を立てている。
また、オニヤンマが近づいてきた。
ふと目が合った。
さっきと同じオニヤンマのような気がした。
サッカー部と同じように外周をぐるぐる周っているらしい。
しばらくぼんやりしていたら、あくびが何度も出てきて涙が溢れそうになった。
こんな公園が家の近くにあったら、毎日でも散歩するのだが。
しないか。
特急列車の中で弁当を食べてぼんやりしていたら、放送が聞こえてきた。
女の人の声で車内販売の案内をしている。
何気に聞いていたら、珍しいアイスクリームを売っているという。
それは、高千穂牧場で作った濃厚なアイスクリームを長崎のカステラで挟んだものだという。
どんなものか想像していたら、無性に食べたくなった。
目的地まであまり時間がなかったが、アイスを食べる時間くらいは残っている。
まもなく車内販売がやってきた。
私が「カステラアイスください」と言うと、売り子の女性は、こう言いながら私に渡した。
「柔らかくなるまで、しばらくたってお召し上がりください」。
仕方ないのでアイスを窓辺に置いてぎりぎりまで待つことにした。
お金を払おうと千円札を渡したら、売り子さんは困ったような顔で言った。
「細かいのはございませんでしょうか?」
お釣りの百円玉がないのだと言う。
あいにく私も硬貨の持ち合わせは無い。
「すべて50円玉でよろしければ・・・」
仕方ないので「かまいませんよ」と、手のひらにじゃらじゃらと50円玉をもらった。
小銭入れに収めようかと思ったが、窓辺に置いたカステラアイスの横に50円玉を重ねて置いてみた。
しばらくそのままぼんやりとしていた。
ふと、車窓に映っている私の顔に気がついた。
私の顔は嬉しそうに笑っていた。