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経営の最近のブログ記事

絶句

ある教習所の経営者が私に一枚のチラシを見せてこう言った。

「川崎さん、これ、見てやってください」

そのチラシは教習所で実施するイベントの告知チラシであった。

すでに印刷して周辺にポスティングをしてまわったのだという。

私は、そのチラシを見て思わず絶句した。

「・・・・・・」

イベントのチラシと言えば、いかにも楽しそうでワクワクするように、イラストや楽しそうな写真を交えてカラフルにデザインするのが普通だろう。

 

しかし、目の前のチラシには、楽しさのかけらもない。

それどころか、どこか「怖さ」さえ感じる。

何が怖いのかというと、写真が怖い。

心霊写真のような不気味さ。

「ファミリーフェスティバル」という文字とのギャップ、ぼんやりとした配色がまた恐怖感を煽る。

 

パッと見のイメージは、「ひったくり多発」、「チカン出没注意」、「この人を探しています」・・・。

年代的には昭和30年代の趣さえ感じる。

まるで黒澤明監督の映画「天国と地獄」で、張り込みをしている刑事が隠れている電信柱に貼ってあるようなレトロ感。

そんなことよりも、このフェスティバルでいったい何をするのかよくわからない。

「第2部では、・・・楽しいイベントを実施するよ」と書いてある。

ってことは、1部があるのか?

では1部では何をするのだろうか?

・・・何も書いてない。

 

それ以前に、来て欲しいのかどうかさえも不明だ。

ひょっとして担当した指導員さんは、なるべくお客さんに来て欲しくないと思って作ったのだろうか。

そんなはずはない。

チラシの下には「お楽しみ抽選会チケット」だってついているではないか。

 

この教習所の経営者は、最後にこう言った。

「このイベントは失敗するでしょう。でも、本人が失敗したと思ってくれればいいんです。それで1歩前進できれば、このイベントにかけたお金も意味があったことになります」。

経営者には辛抱強さが求められる。

 

私はこのチラシを大事に保管しておこうと思った。

 

 

無題-スキャンされた画像-02.jpg

ds-ccs (2008年9月13日 14:43) | 個別ページ

偵察

ある教習所にお客を装って行ってみた。

ロビーには15人位の生徒が座っている。

みんなうつむいてたまま、水を打ったような静けさである。

私が受付の女性に「パンフレットをください」と言うと、いろいろと説明してくれた。

少し冷たい感じはするが、説明はわかりやすい。

よく教育されている印象である。

ふと私は、違和感を覚えた。

なんだろうと、受付の奥に目をやると、一人の男性が座っている。

違和感の原因はこの男性だった。

着ているシャツが異様に派手なのである。

しかも、がっしりと太りぎみの体格。

きっと経営者に違いない。

広い部屋の中で、一人だけ目立っている。

完全に浮いていると言ってもいい。

自分では気づいてはいないのだろうか。

 

完全に浮いていますよ。

ピンクのシャツはどう見ても派手すぎでしょう。

悪代官のように見えますよ。

そう、あなた。あなたのことです。

 

その男性は私からのシグナルに全く気づかないまま、ぐふふと笑った。

 

ds-ccs (2008年8月11日 13:56) | 個別ページ

誰も信じない

ある経営者が、大型の駆け込み需要であがった収益について、幹部にこんなこと言った。

「社員に還元?しないよ。将来、何かあった時のために取っておかないと」

将来何かあった時にはちゃんと出すということですか?

「そうだよ」

って、誰も信じないよ。

 

生徒の数は落ちていないのに、昨年に比べて賞与がかなり減額されることに不満を漏らした幹部に、経営者は言った。

「よそでは賞与なんて出ていないのに、出るだけありがたいと思ってくれないと」

よそが出ないのにウチは出るから喜ばないといけないということですか?

「そうだよ。なんでそんなことわかんないかな」

って、誰もわかんないよ。

 

こうして、指導員のモチベーションはどんどん落ちていく。

こうして、教習所から優れた人材が離れていく。

そして、生徒がどんどんいなくなる。

 

ある教習所で、生徒の激減から賞与が半分になると聞いて、指導員はこう言った。

「賞与が半分?かまいません。社長はこれまで頑張った分は出すからと言って、ちゃんと出してくれました。こんな時にこそ我々が頑張らないと」。

 

 

ds-ccs (2008年7月19日 09:43) | 個別ページ

苦情

ある教習所で偶然、クレーム対応の現場に通りかかった。

私が見たのはほんの2秒ほど、一瞬である。

後から聞いたところによれば、検定に不合格になったお客様からの苦情だったそうだ。

詳しい内容はわからないが、その場面を見て瞬間的に「まずい」と思った。

まず、場所がよくない。

ロビーの隅。

しかも、立ったまま。

お客様に対する体の角度もよくない。

相手の目を見ないまま聞いている。

表情も不安そうだ。

不手際がこちらにあったと認めてしまっているように見える。

クレームは、相手の言い分をとことん聞かなくてはいけない。

終始、受容の態度が必要だ。

謙虚な姿勢も求められる。

一通り聞いたら、解決策を相手に言ってもらうようにする。

無理難題を言われた時には、毅然とした態度を示すことも必要だ。

そのためには、落ち着いて聞けるよう場所を変える必要がある。

適当に立ち話で処理しようとすると、それが相手に伝わり、こじれる。

つまり、最初の対応を誤ると、こじれる。

こじれなければいいけど。

ds-ccs (2008年6月20日 00:35) | 個別ページ

梅雨

どんよりした教習所に行った。

みんな、胃潰瘍を患っているような顔をしている。

私は、冗談を言ってみた。

すると、みんなは表情を変えずにむにゃむにゃと笑った。

今度は、暗い話をしてみた。

すると、すぐにまたどんよりとした顔に戻った。

コーヒーが運ばれてきた。

音も立てずにみんな、どんよりと飲んでいる

私は言った。

「休憩しましょう」。

みんなコーヒーを飲んだら、どんよりしたまま部屋から出て行った。

誰もいなくなった部屋は、まるで廃屋にいるかのような静けさである。

窓からどんよりとした雲が見えた。

ds-ccs (2008年6月19日 00:46) | 個別ページ