「広島の美容室は洗髪の時に仰向けになるんですね」。
同行の最中、指導員さんが聞いてきた。
なんでも、テレビで見たらしい。
たしかに頭を洗う時には、座席の背もたれが倒れて、
そのままくるりと回転し、仰向けのまま洗髪される。
「こちらでは、そのまま前かがみになって洗うんです」。
へえ。
洗髪の仕方も地域によって違うのである。
指導員さんはさらにこんな疑問を投げかけてきた。
仰向けになって洗髪の準備が整った時に、美容師さんがお客にこう聞いたそうだ。
『むずかしくないですか?』
「『むずかしくないですか?』って、何がむずかしいんでしょうか?」
指導員さんは不思議そうな顔をしている。
ふーむ。
言われてみればたしかにそう言われる。
「むずかしくないですか?」
広島県人は「むずかしくないですか?」と聞かれれば、
「はい。大丈夫ですよ」と平然と答える。
つまり、「むずかしくないですか?」とは、
概ね「大丈夫ですか?」「苦しくないですか?」という意味である。
しかし、もしも首の座りが悪い場合でも、
「ああ、ちょっとむずかしいですね」とは答えない。
考えてみれば妙な聞き方ではある。
「むずかしくないですか?」
今度聞かれたら、ためしにこう答えてみようか。
「むずかしくて、かなわんわ」。

