ある本にこんなことが書いてあった。
タイガー・ウッズが、相手がパッティングするのを見つめている。
大会の優勝を決めるためのプレーオフ。
相手が残り5メートルのパットを外すと、ウッズの優勝。
入れると、プレーオフは続く。
相手がパットを打つ。
コロコロとボールはカップに向けて転がっていく。
この時、タイガー・ウッズは心の中で何を考えているか?
なんと彼は、「入れ!」と念じているのだそうだ。
「入るな!」ではなくて「入れ!」と。
これは、タイガーウッズが父親から受けた教育によるものだと言う。
ウッズは、幼いころから自分の父親に、
このような厳しい場面と向き合った時の思考法を、徹底的に植え付けられてきた。
いわゆる、"洗脳教育"である。
ウッズは、こう考える。
「自分は、世界最高のゴルファーだ。
そんな自分にふさわしいライバルであれば、
この程度のパットは決めて当然だ」。
相手が成功してくれないと、
自分のレベルが下がってしまいかねない、という訳だ。
つまり、「外れろ」と願うのは、
「外れてくれないと、自分は勝てないかもしれない」と考えることだから、
自分自身がめざす「高い自己評価」が下がってしまうことになる。
だからウッズは本気で「入れ!」と念ずるのだと言う。
彼にとっては、そのように高いレベルで勝負を繰り広げる自分こそが
「快適な状態」になっていて、敵が弱いと却ってやる気を失うのだそうだ。
ウッズの父親は昔、アメリカ陸軍の特殊部隊、
グリーンベレーに所属していて、同じような教育を受けてきたのだと言う。
グリーンベレーも敵に対して全く同じように考える。
敵も強い、しかし、その強い敵を打ち倒すことができる自分は、
兵士として最高の存在である、と。
なるほど、ウッズの強さは教育にあったのである。
だったらついでに、こんな洗脳もしてもらえばよかったのに。
妻といっしょにいる時こそが、最も「快適な状態」なのだ、と。

