その電車に乗りながら、「おや」と思った。
おかしい。
前に来た時は、こんな端のホームではなかったはずである。
しかし、ちゃんと路線名も合っている。
電車の中はがらんとしていた。
以前は多くの乗客が利用していたのに。
平日だからか、それとも不景気なのか?
電車が動き出した。
車窓もどこか見慣れない景色である。
ふた駅目に停車したとき、乗客が全員降りていった。
おやおやと思っていたら、社内放送で「終点です」と言っている。
絶対おかしい。
目的地はやはり終点だが全く様子が違う。
私は今、どこにいるのだろうか。
駅名を確認したら、聞いたこともない駅であった。
私は狼狽しながら、ここがどこか路線図で調べてみた。
わかった。
私は、反対方向に乗ってしまっていたのだった。
いったい、どうしてこんなことに。
私は自分が犯したミスに合点がいかずに考え込んでしまった。
私はいつからこんな、
すっとこどっこいのボケ中年になってしまったのか。
情けない。
妻に言うと笑われるから、黙っておこう。

