社員研修最終日の朝、
校長先生は憔悴しきっていた。
どうやら、昨夜、寝られなかったらしい。
寝付けなかったのではなく、寝かしてもらえなかったのである。
原因は、ゴマさんだった。
ゴマさんは、この自動車学校で四天王と呼ばれる募集の達人である。
その卓越した営業力で、
全社員からは羨望の眼差しで見られ、
他の学校からも一目置かれる神様のような存在である。
ところが・・・
お酒を飲むと、手がつけられない。
騒ぐし、絡むし、叫ぶし、いろんなことをしでかすし、
同室の人は、まさしく悪夢のような夜を過ごすはめになる。
この日の被害者が、校長先生であった。
そう言えば、早めに寝た私は、
夜中、廊下で叫び、ドアをどんどんと叩く音で目が覚めた。
瞬間的に、それがゴマさんだと思った私は、
じっと息をひそめていた。
「どうかしましたか?」などと、
迂闊に外に出ようものなら、乱入してくるのは目に見えている。
しばらくすると、何かを叫びながらどこかの部屋に入っていった音がした。
私は安堵して、再び眠りについた。
思えば、それから校長先生の難儀は始まったことになる。
なまんだぶ、なまんだぶ。
しかし・・・なんとかならんのか、この酔っ払い。

