会員校が一同に会しての研修が始まった。
会場は、ある温泉地のホテルである。
このホテルは、ある会員校さんの紹介で利用することになったのだが、
さまざまな工夫をして集客し、収益をあげているというので、
講師を務めた経営者の発案で急遽、女将に来ていただき話をしてもらうことになった。
約1時間、いろいろな苦労話や経営の厳しさなどについて
話をしてもらったが、その中で、こんな話があった。
大浴場を改修した際、工事の期間中に、
温泉の汲み上げをストップしなければならなくなった。
営業をどうするか検討した結果、
温泉に水道水を使用し、営業を継続することにした。
そこで、お客から苦情が出ないように、
水道水を使用していることをホームページや広告に載せ、
お客への周知徹底をはかった。
ホテルの玄関前や大浴場の前にも張り紙を出したそうだ。
しかし、その結果、
「あのホテルは実は温泉ではなかった」
「温泉と言いながら、水道水を使っている」
という悪評が広がり、一気に客足が激減したと言う。
どんな商売も目先の利益を追うと、痛い目に遭う。
格安で入校だけさせておいて、
「今は混んでいてとても乗れません。オプション料金を払えばすぐに乗れます」
などと詐欺まがいのことをやっている教習所も、
いつかきっと痛い目に遭う。
ところでこの女将、ホテルのオーナーが代わった際、
その会社の方針で「女将」から「支配人」という肩書になったそうだ。
しかし、支配人と名乗るのは洋服を着ている時であって、
宴会時の挨拶など、着物を着ている時は、
「当ホテルの女将です」と挨拶をするという。
着ているもので肩書が変わるのだ。
なぜ二つの肩書を使い分けるのか、理由を聞いて、なるほどと思った.
「当ホテルの支配人です」と挨拶すると、特に男性客は、
「女のくせに支配人か」と冷ややかな反応を示すそうである。
しかし、「当ホテルの女将です」と挨拶すると、
「女将さんですって」とまわりにわらわらと寄ってくるのだそうだ。
TPOに応じて肩書を変える。
この女将、決して華があるとは言えないが、やはりなかなかしたたかである。
でも、自販機のペットボトルが200円もするのはいかがなものか。

