指導員のTさんが運転する教習車で訪問にまわっている途中、
急に賑やかな音楽が鳴り出した。
何かと思ったら、Tさんの携帯電話の着メロであった。
聴いたことがあるような気がしたので、
「今の着メロは誰の歌ですか?」と聞いたら、
Tさんは、「のりぴーです」と答えた。
「のりぴーが好きなの?」
と聞くと、Tさんは
「はい。大好きです。結婚式の音楽ものりぴーでしたから」
と、急に照れくさそうな顔で言った。
「ふーん・・・私の結婚式はドボルザークだったなあ」
と言ったら、Tさんは真顔で私にこんなことを聞いてきた。
「ドボルザークっちゅうのは、洋楽ですか?」
ドボルザークが洋楽?
・・・確かに洋楽と言えば洋楽だ。
絶対に邦楽ではないだろう。
だが、そんな分類で果たしてよいのだろうか?
その分類でいくと、
ドボルザークは洋楽で、のりぴーは邦楽、
てなことになってしまう。
それでよいのか・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
クラシックなんだよ。
ドボルザークは。
そう言えば、Tさんのいる教習所には、
赤穂浪士の討ち入りを知らない指導員さんがいたことを思い出した。
私はそれ以上、音楽の話題に触れないことにした。





