夕方、妻から、
「今晩は何もないからお好み焼きを頼みました」
というメールが入った。
私の家から車ですぐのところにあるお好み焼屋は、
電話一本で配達をしてくれるので重宝している。
お好み焼きと言うと広島の名物で、
市内中心部には「お好み村」という観光施設まであるが、
広島の住宅街には昔から、鉄板を囲んだ小さなお好み焼屋がたくさんある。
なので、「お好み村」へは一度も行ったことがない。
私が生まれ育った瀬戸内海に面した小さな町にも、
いたるところにお好み焼き屋があった。
小学生の頃によく通ったお店は、食料品店の中の一室でをお好み焼を焼いていた。
いつも色の黒いおじさんが笑顔で焼いてくれるのだが、
そのおじさんには右腕が無かった。
口とあごと肩を使って器用にそばを袋から取り出しながら、
「戦争でやられたんよ」と汗を拭きながら焼いてくれた。
私たちは、マンガを読みながら黙々とヘラで食べた。
ソースは塗り放題だったが、かけすぎて鉄板の上にたらすと、
いっしょに食べていた友達は嫌な顔をした。
きれいに正方形に切り分けながら食べるのがマナーだった。
こういう食べ物を、ソウルフードと言うのだろう。
たぶん。

