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2009年2月アーカイブ

値切る

値切るとロクなことがない。

いいことは何ひとつない。

 

ある教習所の社長が、ホームページの製作費用を値切った。

安くはなったが、かわりにコンテンツの設計や原稿など、

すべてを教習所でやらなければならなくなった。

それでも安くなるんだったらと、社長は承諾した。

 

しかし、その負担がすべて営業課長の肩にのしかかった。

 

その結果、完成が半年遅れた。

その結果、できあがあったホームページも、きわめて導線のわかりづらいものになった。

その結果、ホームページばかりに時間を費やした関係で、営業や販促すべての計画が大幅にずれ込んだ。

さらに、ずれ込んだ仕事を挽回しようとしていたら、今度はホームページの更新がおろそかになった。

11月末で終了のキャンペーン情報が1月になってもそのままになっていた。

 

ああ。

予定どおりに完成していたら、

どれだけ生徒が増えたことだろう。

どれだけみんなの笑顔が見られたことだろう。

 

ああ。

値切るとロクなことがない。

いいことは何ひとつない。

いや、ほんと、マジで。

 

ds-ccs (2009年2月28日 14:39) | 個別ページ

3月号

「実践!入校生アップニュースレター」3月号の下原稿ができた。

今回のテーマは、「攻めの勧誘策」。

(どこかで聞いたような)

しかも、ほめることを通じた生徒さん獲得法である。

 

せっかく新聞記事に

「一誉め運動」に取り組んでいる教習所のことが書いてあったので、

どうほめれば入校生が増えるかについて書いてみた。

 

生徒さんをほめるのは大事なことだし、よいことである。

しかし、だからと言って、それだけで入校生は増えない。

ほめたから、生徒さんが気分をよくして誰かを紹介をしてくれるだろう、と言うのは、

あまりにも能天気な考えである。

 

「ほめる」ことと「生徒が増える」ことは、別次元の話だと思った方がよい。

でも、ほめることは大事だし、よいことである。

せっかくほめるのなら、生徒さんが増えた方が絶対いいだろう。

 

さて、あなたならどうする?

決して、ほめ殺しにするとか、ベタにほめまくるといったレベルの話ではない。

 

ヒントは、本人だけほめてもダメだということだ。

答は本編でどうぞ。

 

3月号.jpg 

 

ds-ccs (2009年2月27日 23:04) | 個別ページ

「攻めの勧誘策」2

昨日のブログを読んでくださったある経営者が、

さっそく社内のインターネット回覧版にその文章と新聞記事データを載せてくれた。

 

これで、その教習所のすべての社員さんに目を通してもらうことができる。

ちょっと掲示板を覗いてみたら、

何人かの人が、読んだ後で書き込みをしていた。

 

その中に、こんな書き込みがあった。

 

「この学校の社員でよかった」。

 

一生懸命仕事をすることが当たり前になっている教習所も、

楽をすることが当たり前になっている教習所も、

どちらも当たり前に仕事をしていることには変わりはない。

 

どのレベルを"当たり前"とするかは、経営者の考え方次第だろう。

 

しかし、少子化に、免許離れに、百年に一度の不況といった厳しい局面では、

当たり前のレベルが高いところが間違いなく勝ち残る。

 

「この学校の社員でよかった」。

もしも、教習以外何もしなくていい、楽ちんな教習所に入っていたら・・・。

 

この書き込みをした人は、

きっとそんなことを思い背筋が寒くなったに違いない。

 

ds-ccs (2009年2月26日 17:24) | 個別ページ

「攻めの勧誘策」

今日の朝刊の地域版に、

「車教習所 攻めの勧誘策」という見出しの記事が載っていたので、

おやおやと思って読んでみた。

 

その記事には、少子化や不況で入校生が減少した教習所が実施している、

さまざまな"攻め"の取り組みが紹介されていた。

 

ある教習所では、教習中に1回以上教習生をほめる「一誉め運動」を。

ある教習所では、事故車率を下げたり補習時間を減らすための研修を。

ある教習所では、教官や教習生に対して周囲の人たちに入校を勧める呼びかけを。

 

私は記事を読み終えて、思わずきょとん顔になってしまった。

・・・・・・・・・・これが"攻め"?

・・・・・・・・・・これが"勧誘策"?

 

なるほど。

業界ではこういうのを"攻めの勧誘策"と言うのか。

へえ。

 

うん、ひとつ勉強になった。

いや、ほんと、マジで。

 

攻めの勧誘策.jpg

ds-ccs (2009年2月25日 11:37) | 個別ページ

風邪

「どうされましたか?」

医師が症状を聞いた。

 

「ええと、おとといから痰が切れなくなって、のどが痛くなり、ときおり咳も出始めて・・・」

私が言い終わらぬうちにその医師は、

「ふふん」

と鼻で笑った。

口元に不敵な笑みを浮かべ、表情は楽しげにも見える。

 

昨年末にインフルエンザの予防接種に来た時とはえらい違いである。

「最近、調子はどうですか?」との問いかけに、

「おかげさまで、体調は言うことなしです」と答えると、

「ふーん」とつまらなそうな顔をしてそっぽを向いた。

 

過去のカルテをしばらく眺めていた医師は、

キラキラとした眼を向けて、

「熱はありますか?」と聞いた。

 

私が「熱はありません」と言うと、体温計を渡して

「この症状でぽーんと熱が上がったらインフルエンザ。奥にいっぱいおるけど」

と言ってまたにやりと笑う。

 

体温計の表示は36.5度であった。

「ちょっと口開けて」。

医師は喉の奥を覗きこんだ。

今度は無邪気な顔でこう言った。

「真っ赤じゃ」。

 

そして、医師はうれしそうに、

「川崎さん、あなたは風邪です」と言った。

 

来る前から、風邪だろうと思ってはいたので、

私も笑顔で「はい」と答えた。

診療を終え、点滴を打ってもらい、医院を後にした。

 

この医院に来初めて15年になる。

どんなに症状が重いときでも、

ここに来たら不思議なことに病状は一気に快方に向かう。

 

医師は横顔が少しだけ石田純一に似ていることから、

妻は「石田純一くずれ」と呼んでいる。

 

ds-ccs (2009年2月24日 23:07) | 個別ページ

電話セールス

妻の声がみるみる冷淡になっていく。

「あのう、うちはありませんのでいいです」。

「けっこうです」。

「いいです」。

「ですからけっこうです」。

ピ。

 

最後は相手がしゃべっている途中にもかかわらず電話を切った。

 

聞いてみると、相手は〇TTの代理店と名乗り、

家にパソコンはあるか?

と聞いたらしい。

 

妻は「ある」と答えれば、その先に売り込みが待っていると思い、

「ない」と言ったら、今度はパソコンのセールスを始めたという。

こちらの言うことを無視してしゃべり続けるので、途中で切ったそうだ。

 

ものが売れない時代、何が何でも売らなければと思う気持ちが、

こういった馬鹿げた売り方になる。

以前も同じような電話が何度かかかってきたが、

「パソコンはない」と言えば相手はあきらめて切っていた。

 

2回行ってダメなら、3回。

3回行ってダメなら、4回。

パソコンがないと言われたら、パソコンを売る。

お金がないと言われたら、ローンをすすめる。

それでも断られたら、「お金はいつでもいいですから」。

 

粘る。

食い下がる。

根性を出す。

食らいつく。

夜討ち朝駆け。

断られた時がスタート・・・。

 

ふと思った。

「なり済まし詐欺」の方がよっぽど知恵を絞っているだろ。

いや、マジで。

 

 

ds-ccs (2009年2月23日 15:47) | 個別ページ

免許どころじゃない!

親御さん向けのコミックチラシが完成した。

タイトルは「100年に一度の不況で免許どころじゃないよ!」。

3月に送付するDMに入れる予定である。

 

このコミックには、麻生くんと小沢くんという二人の内定者が登場する。

百年に一度の不況でどちらかの内定を取り消さなければならない。

麻生くんは漢字が苦手で、小沢くんは体が弱い。

どちらの内定を取り消すか、社長は苦渋の決断を迫られる。

 

さて、その結末やいかに。

しかし、こんなストーリーでオチをどうしろと言うのか?

実際に麻生くんは免許を持ってなくて内定を取り消されたし。

(これはこれでオチになるのかもしれないが・・・)

ハッピーエンドにするのは至難の技である。

 

ところが、ここがマンガのよさである。

忙しい中、マンガを描いてくれたある教習所の事務員さんのアイデアにも助けられた。

麻生くんには、ハッピーな結末が待っている。

 

政治の世界でもそうなればよいのだが・・・。

 

会員さんには来月お送りする予定にしている。

 

免許どころじゃない!.jpg

 

ds-ccs (2009年2月22日 11:07) | 個別ページ

紹介

ある教習所で、卒業生の家に電話をかけて、

交通安全の呼びかけをしようとある指導員が提案した。

その指導員は、うまくいけば紹介をしてくれるかもしれないと考えたようである。

 

しかし、紹介とは、

「これから免許を取る人をご紹介していただけませんか?」

と言って紹介してくれるものではない。

 

紹介とは、その教習所を選んで本当によかったと思った人が、

自分の一番大切な人に心から勧めてあげることを言う。

 

紹介料をたくさん出せば紹介してくれるのかもしれないが、

それは紹介とは言わない。

それは、お金で人を売らせているのと同じことである。

サイテー。

 

では、どうすれば紹介に結びつくのか?

あなたの教習所で一番紹介実績の多い指導員に聞いてみるのもいい。

しかし、本人にはその理由をうまく説明することはできない。

 

本当のノウハウとはそういうものだからだ。

 

卒業生宅に電話を掛けたら、少なくとも担任指導員として、

親御さんから「ありがとう」という感謝の言葉が返ってくるよう、

交通安全の呼びかけをしてあげることだ。

 

入校前から卒業後まで、

「ありがとう」という言葉の数だけ、

それは間違いなく紹介の輪となって広がっていくはずだ。

 

ds-ccs (2009年2月21日 20:50) | 個別ページ

名刺

ある経営者から、名刺の裏書きコメントの例を考えてほしいという依頼があった。

今月末に指導員によるポスティングを行うのだと言う。

その際に使う名刺の裏に、親御さんに向けたメッセージを書くそうだ。

 

なぜ、こんな時期にポスティングを実施するのかと言うと、

別に教習が空いている訳ではない。

 

この教習所は、近年稀にみる忙しさで、

指導員さんも休みも返上して教習しているという。

ポスティングへは、教習所への行き帰りや、

中には休日を使って自主的に実施する人もいるそうだ。

 

地方の教習所では、これまで1月から3月までが稼ぎ時であった。

しかし、昨年からその常識が崩れつつある。

閑散期になると、さらに暇になる。

 

3月までに死に物狂いで数字を積み上げる。

 

その執念が短い会話の中から伝わってきた。

 

ds-ccs (2009年2月20日 23:32) | 個別ページ

愛

ある革命家の映画を観た。

彼は、一国の革命を成し遂げた。

 

しかし、そのあと、約束された地位を捨てて、

他の国の革命のためにゲリラ活動に身を投じ、

命を落とした。

 

彼は言った。

「革命は"愛"だ」。

 

彼が死後も愛されている理由がそこにある。

愛とはつまり「利他」。

 

革命家も、政治家も、事業家も、労働者も、

「利他的」な人と「利己的」な人に分かれる。

 

どちらが幸福な生き方ができるか。

どちらが人に感謝される生き方か。

どちらが誇りと笑顔に満ちた生き方か。

 

彼はついに政府軍に捕まり、薄暗い小屋に入れられた。

そこには監視の兵がいた。

彼はその兵士に話しかけた。

 

「名前は?」

「出身はどこだ?」

「そうか」

彼は笑みを浮かべて静かに言った。

 

「縄をほどいてくれないか」

 

兵士はその言葉に動揺し、混乱し、小屋にいられなくなった。

 

そのシーンを何度も思い返しながら、

雨の中、家路についた。

 

ds-ccs (2009年2月19日 22:19) | 個別ページ

成果

ある市で、昨年1年間の死亡事故が激減した。

かつてない減少率だったそうである。

 

なぜ、こんなに死亡事故が減ったのか。

その警察署の管轄内では指定教習所による「伝道師活動」が実施されていた。

「伝道師活動」とは、指導員さんが交通安全の呼びかけをする訪問活動である。

 

警察本部は、その「伝道師活動」を高く評価したそうだ。

市の警察署は県の交通課長会議で表彰されたという。

 

教習所にとっても、こんなにうれしく励みになるニュースはないだろう。

 

ところで、「伝道師活動」には多くのメリットがある。

・警察からの評価が高くなる

・新聞やテレビニュースで取り上げてくれる

・監査結果もよくなる

・地域の評判もあがる

・卒業生の親御さんに喜ばれる

・指導員さんの閑散期対策にもなる

・相手に喜ばれることで、仕事にやりがいが生まれる

 

まだある。

「伝道師活動」最大のメリット。

 

それは、入校生が増えることである。

 

ds-ccs (2009年2月18日 16:34) | 個別ページ

割引

割引はギャンブルに似ていると思う。

 

ギャンブル・・・もしかすると今日は、どかーんとくるかも

割引・・・ひょっとしたらお客がどーんと増えるかも

 

しかし、結果は「負け」だったりする。

時には勝つこともあるのだろうが、概ね負けである。

 

ある本にこんなことが書いてあった。

「ギャンブルの利点とは人生における"負け"を擬似体験できることだ」。

うーむ・・・深い。

 

しかし、深みにはまりこんで本当に"負けてしまう"人も多いらしい。

 

こんなことも書いてあった。

「ギャンブルをたしなむ者には基本的なルールがある。

それは、いくら負けても笑っていること」。

負けて、文句を言ったり暴れたりするのは、サイテーなのだそうだ。

 

ギャンブルも割引もやるからには、たとえ惨敗でも、

「負けちゃった。えへへへへ」

と不敵に笑ってみることだ。

 

無理かもしれないって?

しかし、笑うよりももっと難しいことがあるような気がする。

 

それはギャンブルにしても割引にしても

「やめること」である。

 

ds-ccs (2009年2月17日 13:41) | 個別ページ

なに割

ある教習所の経営者から、

来月に出すダイレクトメールの企画について電話があった。

 

話を聞いていると、あるテーマパークで「ラブ割」という割引企画をやっているという。

入場ゲートで、「キス」か「ハグ」をすれば、通常料金からいくらか引いてくれるそうだ。

 

これをヒントに、教習所でも何か話題性のある企画を実施したいとのことであった。

しかし、教習所の受付で「キス」とか「ハグ」はいかがなものか?

 

海のそばにある教習所なら、「キス」とか「ハゼ」を持ってきたら割引します、

という企画もありだろう。

広島なら「キス」とか「ハゲ」だ。

 

しかし本当に、「キス」とか「ハグ」などする人がいれば、

それを見た生徒さんの中には、泣き出す人もいるだろう。(いないか)

少なくとも、ロビーに重苦しい空気が流れるに違いない。

 

そうこう考えていたら、

「ハイタッチ割」というアイデアが出てきた。

 

受付で友達同士ハイタッチをする。

そしたら割引。

おお、これなら教習所でもできそうだ。

 

だったら「ボケツッコミ割」でもいけるではないか。

一人がボケて、ひとりが突っ込んだら割引。

すべっても割引。

 

つまり、ふたりで何か共同作業をしてもらえればよいのである。

 

はっ、共同作業でひらめいた。 

「ウエディングケーキ入刀割」。

 

ケーキが高くて、ワリに合わないか。

 

ds-ccs (2009年2月16日 20:16) | 個別ページ

宇宙戦艦ヤマト

ある経営者から電話があった。

2月の合宿が昨年に比べ、すでに倍増したと言う。

通学も、ここ数年来、まれに見る好調ぶりだそうだ。

教習は、もう非常事態態勢で指導員さんはてんてこ舞いらしい。

 

経営者は言った。

「やっと、宇宙戦艦ヤマトが間に合いました」

 

地球を救うためにイスカンダルに旅立ったヤマトは、

無事、放射能除去装置を手にいれ、

タイムリミットまでに帰還し、

地球を滅亡から救った。

 

ヤマトは巨艦船である。

その経営者の教習所も指導員が多い巨艦船である。

従って、舵を切るのは大変だったと言う。

乗組員も船も悲鳴をあげていたそうだ。

 

そして、地球に近づいてきたところに、

百年に一度の不況が突然襲ってきた。

 

しかし、もう、デスラー総統はいないし、

攻撃してくる敵もいない。

 

ぼんやりとではあるものの、

はっきりと視界の中に光明が差してきた。

 

来年度が、うんと楽しい年になりますように。

 

ds-ccs (2009年2月15日 18:15) | 個別ページ

ギャ

いつからか、ネコが怒りっぽくなった気がする。

抱き上げてもギャ、と鳴くし、

身体に触れてもギャ、と鳴く。

いかにも不愉快そうな声である。

 

あんまりギャ、ギャと鳴くので、

「なぜ、おまえはそんなに機嫌が悪いのか?」

と聞いてみた。

 

彼女はやはり不愉快そうな顔でギャ、と鳴いた。

「おまえという人間は、だらしないんだよ」

そう言われているような気がして、思わず目をそらした。

 

ギャ.jpg

ds-ccs (2009年2月14日 21:28) | 個別ページ

春の嵐

その街は、朝から強い風が吹き荒れた。

 

定食屋に入って焼き魚定食を食べていたら、

お店ののれんが何度も風で飛ばされた。

そのたびに、おかみさんは外に飛び出してのれんをかけ直していた。

おやじさんは、お客の座るカウンターで新聞を読んでいた。

 

お昼を済ませて外に出ると、空は黄砂のためかかすんで、

街全体がぼんやりと曖昧に浮かんでいるようである。

 

夜はあたたかだったので、

バスも地下鉄も使わず、ホテルまで歩くことにした。

 

ビルの中を歩いていると、ふとあるウインドウに目がとまった。

自動車学校という文字が見える。

どうやら案内所のようだった。

 

こんな都会のビル群の一室に案内所が置けるとは、さぞかし大きな学校だろう。

家賃が大変だろうな、と中をのぞき込んだら、

段ボール箱がいくつも積み重ねてある。

 

おやおやと思って、ウインドウの張り紙を見たら、

「移転します」と書いてあった。

 

春の嵐.jpg

ds-ccs (2009年2月13日 20:40) | 個別ページ

轟音

轟音が近づいてきた。

何人もの男たちが、両手を広げて大声でわめいてる。

 

その前を、ものすごい数の人間が同じ方向に足早に歩いている。

みな、険しい表情で無言でうつむいている。

しゃべっている人も誰一人いない。

多くの人が顔をマスクで隠していて、表情がよくわからない。

 

男たちは相変わらず大きな声を張り上げている。

また、轟音が近付いてきた。

男たちのわめき声はさらに大きくなった。

こんな場所からはすぐに逃げ出したい。

背中がじわりと汗ばんできた。

 

今度は、天井の方からさらに大きな声が聞こえてきた。

やめてくれ、そんなに大きな声でがなりたてるのは。

いったい全体、何を言っているのかさえわからない。

 

轟音とわめき声の中で、気を失いそうになった時、

天井からの声が聞き取れた。

 

「まもなく、列車が到着しま~す」

通勤時の東京の地下鉄は、まるで拷問である。

 

ds-ccs (2009年2月12日 23:26) | 個別ページ

ノウハウ

ある教習所に競合校の指導員が入社した。

 

経営者は、その指導員から競合校で実施しているノウハウのヒヤリングを試みた。

かなり細かいところまで聞き出したらしい。

 

経営者はそのノウハウを、自校で実施することを決めた。

さて、はたしてうまくいくのだろうか?

 

断言してもいい。

100%失敗する。

 

なぜか?

 

それは、その指導員がしゃべったノウハウは全てではないからである。

意図的に隠したということではない。

ノウハウとは、本人が気づいていないところにこそ重要なポイントが隠されている。

自分が気づいていないことは話すことなどできないのである。

 

それにしても、競合校のやっていることをそのまま真似をしようとすること自体が問題だ。

真似は所詮、真似でしかないので、競合校を超えることはできないし、

他人の土俵でとる相撲は窮屈で仕方ない。

押し出されるか、豪快に投げられるか、はたき込まれるか、

結果は目に見えている。

 

そんな姿は見たくないので、なんとかしたいと思う。

言うことを聞かなければ、谷底に落ちるのもいいのかもしれない。

しかし、この不況期でいったん落ちたら、這い上がってこれないかもしれない。

 

やめた方がいいって。

わかってくれよ。

いや、マジで。

 

ds-ccs (2009年2月11日 20:15) | 個別ページ

みのり荘

お昼過ぎ、散歩に出かけた。

住宅街のはずれで見憶えのある古いアパートを見つけた。

 

「みのり荘」と看板が出ている。

 

2階建ての古びた建物で、それぞれの部屋の前に洗濯機が置いてある。

近くで刑事が張り込みをしていると絵になるような、

ノックをしたら、頭にカールを巻いた訳ありの中年女性が出てきそうな雰囲気がある。

 

もう、15年も前のことになるが、このアパートの中に入ったことがある。

広島で家を探していた時に、不動産屋に案内されたのである。

「まあ、見るだけ見てください」

と2階の角部屋に案内された。

 

中は、犯人の居場所をやっとつかんで踏み込んだらもぬけの殻だった、

そんな感じがした。

窓をあけると切り立った山肌が迫っていて、なんだか暗い気持ちになった。

 

短い沈黙が流れた後で、太った女性の不動産屋が言った。

「ここに住むと、お金が貯まりますよ」。

 

ものは言いようである。

思わず、妻が笑った。

しかめっ面に「死んでもイヤ」と書いてあった。

 

そんなことを思い出しながら歩いていると、

近くの家で、庭に梅の花が咲いているのを見つけて、思わず立ち止まった。

あたたかな風がさあさあと渡っていった。

 

散歩.jpg

ds-ccs (2009年2月10日 23:41) | 個別ページ

7号車

「川崎さん、ボク、7号車に乗っていますから」

 

新幹線での移動中に、指導員のS君から電話がかかってきた。

途中で乗り継ぐ特急にS君も乗っているのだと言う。

私は8号車だから隣の車両である。

行先は同じ教習所である。

 

特急に乗ると指定席は満員で、しばらく身動きが取れそうもなかった。

2時間後、ある駅で一気に乗客が降りていったので、7号車に行ってみることにした。

 

7号車も客はまばらであった。

ふと、前方に異様な空気が充満している場所があること気づいた。

見ると、一見不動産屋の御曹司のような太った男性と、

20歳は年下と思われる若い女性が座っている。

ひょっとすると10代かもしれない。

 

異様な空気は間違いなくここから発散されている。

女性が、太った男性に寄りかかり薄眼をあけてうつろな表情をしている。

男性は、目を閉じたまま口元だけがニヤついていた。

 

座席のトレーには、2台の携帯といろいろなお菓子が散乱している。

網棚には、テーマパークの大きな買い物袋が見える。

この列車の終点は、温泉で有名な町である。

この異様な熱気を放射する二人はお忍びでテーマパークで遊んだ後、

今度はその温泉に行くのだと思った。

 

ガランとした車内でひときわ目立つ二人の横を通り過ぎようとした時、

太った男性が目を開けた。

 

「川崎さん」。

 

S君だった。

 

私は見てはいけないものを見てしまったような気がして、

7号車に来たことを後悔した。

 

ds-ccs (2009年2月 9日 20:02) | 個別ページ

蛍光灯

「蛍光灯、替わっていると思いますか?」

ある教習所に向う道中、いっしょに訪問することになっている経営者が私に聞いた。

 

蛍光灯が替わるとは、普通の白色から電球色(オレンジ色)に替わっているか、という意味である。

 

高校生が通ってくるのは、秋から冬の夕方、教習が終わるのは夜になることも多い。

従って、生徒さんの目に教習所がどんな風に映るかはとても大事なことである。

温かみのあるオレンジ色の下では、女性がきれいに、食べ物がおいしく見える。

どんなに寒い日も、校舎は温かそうに見える。

 

「今度ばかりは替わっていると思いますよ」

私は答えた。

1か月前に訪問した際、先方の社長が、

「蛍光灯?ああ、もう、手配しましたから」

とにこやかに答えていたのを思い出したからである。

 

「私は替わってないと思うけどな...」

と、経営者は言った。

 

しかし...蛍光灯を替えるようにアドバイスして、もうどれくらいたつだろう。

もしかしたら1年以上経つかもしれない。

ああだ、こうだと、できない理由をこれまでたくさん聞いてきた。

 

そして・・・

教習所に到着して、すぐに校舎の中を覗いていた経営者は私の方を振り返って言った。

「やっぱり、替わってないですね」

 

白々とした、いつもの蛍光灯が鈍く輝いていた。

 

ds-ccs (2009年2月 8日 20:58) | 個別ページ

ロックンローラー

打ち合わせのために車で都心のホテルに向かった。

運転するのはある教習所の見習いさんで、最近入社したばかりの28歳の男性である。

 

この男性は、入社する前はロックミュージシャンを目指していたという。

元ロックバンドのギタリストである。

 

だが、そんなことなど全然想像できないほど普通の人に見える。

返事もいいし、はきはきとした好青年である。

 

ところが............運転がロックンローラーであった。

 

突然の急ハンドルに同乗していた3名は、思わずうめき声をあげた。

「い、今のは危なかったよ」

彼の教育担当でもある教習所の経営者がそう言うと、彼は

「はい。気をつけます」とさわやかに答えた。

 

それ以後、経営者は、

「はい、落ち着いて~」

「あわてなくていいからね」

「そろそろ右車線だよ」

などと、親身になって指導する指導員に変身してしまった。

 

元ロックンローラーは、はたして指導員になれるのだろうか?

その前に、指導員に向いているのだろうか?

 

いや、そんなことよりも、

ふたりは無事に家に帰れたのだろうか?

 

ds-ccs (2009年2月 7日 23:16) | 個別ページ

DM

ある教習所に行った。

 

今月に出されているはずのダイレクトメールがまったく準備されていなかった。

原稿は先月の中旬に送っていたと言うのに。 

しかも、競合校が正月に安売りのチラシを打って、大きく水をあけられていたにもかかわらずである。

 

たぶん...何か、出せない理由があったのだろう。

 

別の教習所でも、私が書いたダイレクトメールの内容が大幅に変更されていた。

 

大雪のあとで、その雪とたわむれている指導員の写真。

意味不明である。

そして、「就職も進学も ファイトォ、一発!」というキャッチコピー。

親御さんからすると、大きなお世話なのではないか。

なぜなら、そんなことを教習所からわざわざ言われなくても、人は頑張る時には頑張る生き物だからだ。

 

しかし、これも変更するだけの理由があったのだろう。

理由がなければ、無視したりゴミ箱に捨てたりするはずはない。

きっと、やむにやまれぬ理由があったのだと思う。

 

そんなことを思いながら、今夜はいつにも増して酔ってしまった。

 

ds-ccs (2009年2月 6日 21:50) | 個別ページ

経済誌

ある全国版の経済誌紙に自動車教習所の記事が載った。

内容は「免許離れ」の窮状についてである。

都心でも地方でも値下げ競争が激化し、教習所も供給過剰であると書いてある。

もはや免許は必要ない時代に入ったとも書かれていた。

 

この記事には、業界に詳しいジャーナリストのコメントも紹介されていた。

その人は、外国人の免許取得を促進したり、エコドライブを推進するという教習所の事例をあげながら、こうした教習所は少数で、多くがアイデアや知恵が出せない教習所の旧態依然とした体質を指摘していた。

 

外国人に免許を取得させることもエコドライブも大事なのかもしれない。

しかし、そんなことで生徒は増えないのである。

業界が旧態依然としていることを問題視しながら、それを解決する抜本的な方向性は何ひとつ書かれていない。

知恵やアイデアでは、もうどうにもならないところまできているのに、それがわかっていない。

 

この業界は「業界に詳しい識者」にも恵まれていない。

そちらの方が、寂しいのではないか。

記事を読んで、そう思った。

 

ds-ccs (2009年2月 5日 23:30) | 個別ページ

記録

太り続けている妻の友人が、レコーディングダイエットを始めたらしい。

レコーディングダイエットとは、食べたもの全てとそのカロリーを記録するというやり方である。

たとえ、どんなにわずかな食べ物でも記録しなければならない。

 

このダイエット法は、記録するだけでやせるというメリットがあるそうだ。

たとえポテチ1枚でも、

「これを食べたら記録しなければいけない」

という面倒さが、食べるのをやめさせてしまうからだ。

 

妻は、友人に

「記録するのが面倒だから、つまみ食いが減るでしょ?」

と聞いたところ、こんな答えが返ってきたそうである。

 

「ポテチ2、3枚で記録なんかしないわよ。だって面倒くさいじゃん」

 

あははははは。

 

ds-ccs (2009年2月 3日 11:19) | 個別ページ

不況

ある経営者から、コミックチラシの依頼があった。

 

免許離れが進んでいる中で、

突然、百年に一度の不況とやらがきて、

雇用不安が蔓延し、消費は冷え込み、

「免許どころじゃない!」という人も多い。

 

しかし、免許を持っていないことで就職に不利にならないよう、

無理をしてでも免許は取っておくべきではないか。

 

そんな内容のコミックである。

 

しかし、世の中はいつからこんなに急激に変化するようになったのか? 

この調子だと、毎月コミックを考えないといけなくなる。

 

いっそ、月刊誌でも出すか。

 

ds-ccs (2009年2月 2日 11:36) | 個別ページ

2月号

ニュースレター2月号ができた。

今回は、いったん仕上げた後で読み返してみたら、どうにも気に入らなかったので、修正を加えていたら、いつもより随分時間がかかってしまった。

 

完成したニュースレターを、事例で取り上げさせていただいた経営者さんに送った。

すると、そこから、ある大学教授に転送されたらしい。

その大学教授の感想が、経営者経由で送られてきた。

 

大学教授の感想には、

「まとめるのが難しい事柄を、いつもどおりわかりやすく表現している」

と書かれてあった。

 

実際、まとめるのに苦労したので、それを読んで安心した。

安心したら、お腹がすいてきた。

 

2月号.jpg

 

ds-ccs (2009年2月 1日 17:44) | 個別ページ