お昼時、イタリア料理店に入った。
昼食はランチとバイキング形式どちらかを選べるようになっている。
バイキングを選んだ。
バイキングにはひとつ難点がある。
できたての料理が食べられないことである。
冷たくはないが、ウォーマーの中の料理は生ぬるくて残り物のような気さえする。
ところが、このお店は違った。
パスタとピザとリゾットは好きなだけ注文できる上に、注文後に調理してくれるので、まさにアツアツの料理が出てくる。
最近の外食はたいしたもんだなあと感心する。
ふと気がつくと、私の近くにサラリーマン風の男性がひとりで座っていた。
100キロはあろうかという大きな身体に、きっちりとスーツを着こなしている。
その男性は、ピザとスパゲティをそれぞれ3皿頼んでいた。
つまり6皿である。
料理が運ばれてくると、男性は静かに淡々と食べ始めた。
しばらくしてふと男性の方を見ると、
食べ終わった皿を、スタッフが片付けている。
よくあれだけ食べられるものだ、と感心していたら、
新たなスパゲティが運ばれていた。
男性は、そのスパゲティをじっと見つめていた。
その眼は、爛々と輝いているようだった。
妙に紅い唇はてかてかと光り、額も紅潮していた。
先ほどよりもひとまわり太ったように見えた。
いつまでもうっとりとスパゲティに見とれる男性を横目に、
私は店を出た。

