「パーマをかけてきます」
そう言って、妻が出かけていった。
昨夜、ホットペッパーをしばらく眺めていたが、そのうちハサミを取り出して切り取っていたのは美容室のクーポンだったらしい。
数時間経って、妻は帰ってきた。
髪を見るとたしかにパーマがかかっている。
私が
「十和子巻きだね」
と言うと妻は、
「いまどき、十和子巻きなんてありません」
と憮然として向こうに行ってしまった。
その翌日、妻が行った美容室からハガキが届いた。
サンキューレターである。
幾重にも手描きで線を引いて、それに沿って文章が書かれている。
横には、スタイリストと名乗る男性の名前も書いてある。
初めてのお客を獲得するのに比べると、一度来たお客に再び来店してもらう方がはるかに簡単だし、コストもかからない。
従って、再来店をそれとなく促すサンキューレターにも自然力が入る。
妻はそのハガキを見ながら、
「よくこんなハガキが書けるわね。私には絶対に無理だわ」と言った。
私も心の中で「無理だろうな」と思った。

