ある教習所にお客を装って行ってみた。
ロビーには15人位の生徒が座っている。
みんなうつむいてたまま、水を打ったような静けさである。
私が受付の女性に「パンフレットをください」と言うと、いろいろと説明してくれた。
少し冷たい感じはするが、説明はわかりやすい。
よく教育されている印象である。
ふと私は、違和感を覚えた。
なんだろうと、受付の奥に目をやると、一人の男性が座っている。
違和感の原因はこの男性だった。
着ているシャツが異様に派手なのである。
しかも、がっしりと太りぎみの体格。
きっと経営者に違いない。
広い部屋の中で、一人だけ目立っている。
完全に浮いていると言ってもいい。
自分では気づいてはいないのだろうか。
完全に浮いていますよ。
ピンクのシャツはどう見ても派手すぎでしょう。
悪代官のように見えますよ。
そう、あなた。あなたのことです。
その男性は私からのシグナルに全く気づかないまま、ぐふふと笑った。

