海外で、オプショナルツアーのバスに乗り遅れた。
集合時間を10分も過ぎていたので、バスはもちろんのこと係員もいない。
A型の妻は、ショックを隠せず茫然自失状態である。
仕方が無いので、ホテルに戻ってコンシェルジュに路線バスで追いかけたい旨を伝えると、きょとんとした顔でこんなことを言われた。
「路線バス?2時間はかかるよ?レンタカーなら45分なのに」
レンタカー。
想定外である。
左ハンドル、右側通行、左折大回り、右折小回り。
日本とは全くの正反対なのである。
しかも、市街地は朝晩渋滞がひどく、ハイウエーは最大6車線あるという。
うむむと唸っていたら、ふとある経営者の言葉が浮かんだ。
「せっかく海外に行くのに運転しないんですか?もったいない、簡単なのに」
必要は発明の母。
1時間後、私はハンドルを握っていた。
ナビの設定に苛立ち、市街地であたふたし、ハイウエーでどぎまぎしたものの、海に向かう国道に入る頃には、だいぶ落ち着いてきた。
妻の顔を見る余裕は無かったが、声は明らかにはしゃいでいる。
やれやれ。
ふと、ある感覚を覚えている自分に気づいた。
わくわくする。
気分が高まる。
爽快。
この懐かしいような感覚。
すぐにわかった。
楽しいのである。
運転が。

