西山村さんという指導員さんがいる。
彼はカラオケがとてもうまい。人が歌わないような選曲と歌唱力で、みなを驚かせる。
司会をさせてもソツが無い。よく通る声で、流暢にしゃべる。
理数系なのだそうで、気のせいか、どこか知的でクールな顔立ちをしている。
ところが訪問になると、別人のようになってしまう。
緊張からか、話がまわりくどくていけない。
話が、まわってまわってまわってまわってくどいのである。
しかも西村山さんは大の犬嫌いである。
先日、いっしょに訪問に行った際、玄関越しにきゃいきゃい吠える小型犬が二匹もいたので、たちまち西村山さんの顔が凍りついてしまった。
玄関から2メートル離れたところから近づこうとしない。
離れたまんま、おばあさんに交通安全の呼びかけをしている。
きゃいきゃい。まわりくどい話。きゃいきゃい。まわりくどい話。
きゃいきゃい。まわりくどい話。きゃいきゃい。まわりくどい話。
聞いているこちらの方が痛々しくなってくる。
それでも、おばあさんは、
「はいはい」「ええ、ええ」「はいはい」「ええ、ええ」
と最後まで話を聞いてくれ、
「それはご苦労様です。ありがとうございました」。
おばあさんのお孫さんに対する交通安全の呼びかけと再会教習の案内。
二人とも、いい笑顔をしているのである。

